未接道物件とは物件の敷地が道路に面していない物件のことで、次のような種類があります。
1.袋地
袋地とは道路に面していない土地のことです。
道路に出るためには他人の土地を通行する必要があり、他人の土地の一部を借りて通路にして、使用させてもらいます。
人は通行できても自動車の駐車ができなかったり、電気・ガス・上下水道なども他人の土地の中を通すために、工事するためには許可が必要です。
2.道路と接道している間口が2メートル未満の物件
道路に面していても、その距離が2メートル未満の物件は未接道物件として扱われます。
人は歩いて通行が可能で、電気・ガス・水道も問題はないものの、法律で定められているために建物を建て替えできません。
旗竿地と呼ばれる路地状敷地や、道路の突き当りの土地、変形地形の土地などでこういった土地が見られます。
日常生活には差し支えませんが、スペースがなく自動車は駐車できないため、売却しづらい物件です。
2.旗竿地の路地部分が2メートルに満たない物件
旗竿地は道路から路地(通路)部分を通過しますが、路地部分の幅が2メートル未満の場合、未接道物件として扱われてしまいます。
道路と面した部分の間口が5メートルあっても、途中で1.9メートルの幅の路地
部分があると未接道物件になるということです。
測量図上で路地部分が220センチ、路地部分の両サイドに15センチのブロックが敷地内に積んであり、有効幅が190センチしかないときには未接道物件として扱われません。
物件現地の有効幅ではなく、測量図上でちゃんと有効幅が確保されているのかが重要です。
4.前面の道路が4メートル未満の物件
しっかりと接道していても前面道路の幅が4メートル未満だと、未接道物件として扱われてしまいます。
その際は敷地を後退させるセットバックという方法もあります。
セットバックは道路の中心線から2メートル以上を確保する場合や、道路を4メートル以上確保できるように後退するなどケースごとによって変わりますが、おこなうことで未接道の問題を解消することができるでしょう。
5.建物を建築する条件として建築基準法で定められている
建築基準法では、法律で定められた4メートル以上の幅の道路に、2メートル以上間口が面していないと、基本的に建物が建てられません。
道路ならば何でも良いとは限らず、建築基準法上で定められた道路の要件を満たしていることが求められます。
なので、一見して道路に見えるような他人の敷地は建築基準法上の道路に該当しません。
未接道物件に建っている建物の多くは、まだ建築基準法の規制が緩かった時代に建てられていて、現在のルールでは建築できません。
このように現在の建物が老朽化しても建て替えできないので、非常に売却しづらくなり、売却するときも価格が安くなってしまいます。
◎住宅ローンの利用はできる?
未接道物件は建物の建て替えができないので、金融機関が住宅ローンを融資するための担保評価ができず、住宅ローンの審査が通りません。
もしくは、ローンを借りられても少額であったり、フリーローンなどの金利の高いローンでしか融資を受けられません。
このようにローンを受けることは難しいので、買主は現金で購入する必要があることも売却がしづらいと理由といえます。
◎価格相場が安くなる
未接道物件は建物の建て替えができないため、住宅ローンを借りることが難しいですが、売却はできます。
そのためには売却価格の設定を低く抑える必要があります。
未接道物件をそのまま売却しようと思う場合、一般的な売却相場の50%から60%ほどの価格となるでしょう。
場合によってはもっと低くななったり、相場の価格で売却できることもあります。
◎リフォームして賃貸物件として売却する
既存の建物をリフォームすることは問題ないので、水回りや外壁、内装などをリフォームして、賃貸物件として売却する方法もあります。
未接道物件だとしても賃料設定に対して大きな影響は出ないので、賃料に応じた売却価格を設定できるでしょう。
さらに少しだけ値引きをすることで、未接道物件でもすぐに売却できるかもしれません。
注意点として、リフォームの程度には気をつけましょう。
建築基準法上は建物の構造躯体を残してのリフォームは適法とされていますが、行政によっては指導が入り、申請が必要になることもあります。
その場合には、新築と同様の基準が求められるので、未接道物件では許認可が下りないこともあります。
また、リフォームするときは建築会社や設計事務所、不動産会社に相談して間違いのない方法を選択しましょう。
◎隣地と併せて売却する方法
接道している隣地を購入することで未接道状態を解消できるのであれば、それを進めてから売却するのも1つの方法です。
隣地の所有者に声をかけ一団の土地とすることで、未接道でも不動産売却ができます。
もちろん、隣地の所有者に土地の購入を持ちかけるのも良いでしょう。
◎「隣地は倍額出しても買え」といわれるくらい、隣地が売りに出ることは珍しいことです。
所有している物件が未接道の場合は、隣地の所有者に声をかけて、相場と同程度で買ってもらえないか聞いてみましょう。
そのまま個人間で不動産売却をおこなうことも可能ですが、不動産売買契約は数々の法律があり、慣れていないと法令違反の契約になる恐れがあります。
そのようなトラブルを避けるためにも不動産会社へご相談いただくことをおすすめします。
◎再建築許可を取得してから売却する
未接道物件は建て替えができないことが売却しづらい理由となっているので、その状態を解消すれば売却しやすくなります。
接道していなくても、安全基準を確保できるなら建築の許可を得られる救済措置があるので、その制度を活用してみましょう。
ただし、未接道物件で再建築の許可を取るためには条件を満たす必要があり、その条件は物件環境や行政の担当者の考え方によっても変わります。
もし、再建築の許可を取ろうと検討しているのならば、まずは設計事務所など専門家に相談してください。
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