1.追完請求
商品の補修や代替物の引き渡し、不足分の引き渡しを請求することを追完請求といいます。
どのような手段で追完してもらうかは、買主が最初に選択します。
ただし、買主に不相当な負担を強いることにならない限り、売主は買主が指定した方法とは異なる手段で追完することも可能です。
2.代金減額請求
代金減額請求ができるのは、買主が追完請求をしても売主が応じない、もしくは対応不能である場合に限られます。
商品の補修にかかる費用など不具合の程度に応じて代金を減額する方法です。
3.催告解除
催告解除とは、期間を定めて履行を催促して、その期間内に履行がないときは契約を解除できるというものです。
追完請求しても追完してもらえず、代金減額請求では納得できない場合は、催告解除が選択されます。
ただし、軽微な債務不履行では催告解除できないことになっていますので、注意しましょう。
4.無催告解除
買主の権利には、無催告解除もあります。
契約不適合によって契約の目的を達成できないような場合は、無催告解除が可能です。
5.損害賠償請求
損害賠償請求は、売主に過失があった場合に請求できる権利です。
請求できる範囲は、契約が履行されたならば得られたであろう利益、つまり履行利益に対してです。
不動産の転売利益や営業利益も該当するため、賠償金額は高額になる恐れがあります。
契約不適合責任のトラブルを未然に防ぐためには、売却前に不動産のインスペクションを実施しておくと安心です。
本項目では、売却前にインスペクションをおこなう重要性をご説明します。
インスペクションとは
インスペクションとは検査・調査などの意味を持つ英語で、不動産売却の場面では「建物状況調査」もしくは「住宅診断」を意味します。
名前のとおり、不動産が現在どのような状況なのか診断する方法です。
ホームインスペクターと呼ばれる有資格者が診断をおこないます。
建築や不動産、住宅診断のプロであり、建築士の資格を併せ持つインスペクターもいます。
診断によって不動産の不具合が見つかれば、修理したり免責事項に盛り込んだり、売主として早めに手を打つことが可能です。
買主の権利を行使されるリスクを減らせるでしょう。
さらに不動産広告に「インスペクション済み物件」であることを記載していれば、買主は安心して買うことができ、売却活動でも有利です。
インスペクションは欧米では当たり前におこなわれていましたが、日本でも徐々に活用する方が増えています。
2013年6月には国土交通省が「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定するなど、国内でのインスペクション普及に注力しています。
また2018年4月施行の改正宅地建物取引業法では、仲介をおこなう不動産会社に対してインスペクションの説明が義務付けられました。
不動産売却におけるインスペクションの説明義務化や、ホームインスペクション事業者をあっせんできるかの告知義務が規定されています。
◎インスペクションの費用相場
費用相場は、5~6万円程度が目安です。
ただし、調査範囲や地域、会社によって、費用に差があります。
マンションのインスペクションは、床面積によらず5万円程度であることが多いです。
一戸建てでは、床面積に応じて4.5~6.5万円程度が相場です。
さらにオプション調査を依頼する場合は、6~12万円程度まで上がることもあります。
たとえば天井裏や床下に入り込んだり、特殊な機材を使ったりする調査をオプションとしている会社も多いです。
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