不動産を売却したときの利益とは?
不動産を売却すれば多額の現金が手元に残ることになるため、その資金で不動産を購入したり、預貯金や支払いに回すほか、住宅ローンの返済に充てたりする方もいるでしょう。
そもそも不動産を売却したときの利益とは、どの部分のお金を示すものなのでしょうか。
売却益とは、不動産を売却したときの費用から、不動産を購入・取得したときにかかった費用を差し引いて精算したものです。
単純に4000万円で購入した不動産を5000万円で売却することができれば、1000万円の売却益が生まれたことになります。
実際には、購入時や売却時に必要になった諸経費や、建物をリフォームしていればそれも取得費に含めるなど細かいルールはあります。
まずは、売れた金額から買った金額を差し引いて経費などを精算して算入したものが、売却益や売却損であると覚えておきましょう。
売却益は所得として扱われる?
不動産売却で発生した売却益は、譲渡所得とも呼ばれます。
譲渡所得は、給与所得や事業所得と同じように所得として扱われるため、税金が課税されるのです。
「不動産を売却して得た所得ならば不動産所得ではないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産所得は不動産を保有することで発生する所得のことです。
具体的にはアパートや借地で得られる賃料収入のことなので、譲渡所得は不動産所得とは異なります。
そして、不動産の譲渡所得があった場合には確定申告をしなければなりません。
会社員など給与所得の方の場合、会社が納税の手続きなどを済ませてくれるので縁がないという方もいらっしゃるかもしれませんが、譲渡所得の申告はご自身で手続きをする必要があります。
毎年2月16日から3月15日の間に税務署で手続きをして必要な税金を納税しますが、確定申告を怠ると、延滞税などペナルティの対象になってしまうので忘れないようにしましょう。
物件取得費を計算する
売却した不動産を購入していて、その価格が売買契約書などで明確にわかる場合には、それが取得費を計算する基準となります。
そこから不動産取得時の諸経費や、建物があるならば建物の減価償却費用を差し引きます。
減価償却費用とは、建物の経年劣化により価値が減ることを費用として計上したものです。
建物は経年劣化するため、築年数が3年と30年では、同じ建物でも価値が大きく変わってきます。
そして、建物の構造がコンクリート造、鉄骨造、木造などでも耐久年数が変わるために、同じ1年でも経年劣化の度合いが変わります。
これらを国が定めた法定耐用年数と比較して計算し、どれくらいの価値が減ったのかを示すのが減価償却費用です。
不動産売却時には、取得費から売却時点の減価償却費用を差し引いて計算しなければなりません。
相続などで取得し、不動産の取得費用が分からない場合には、売却価格の5%を取得費として計算することができます。
この場合、減価償却の計算なども不要なので計算自体は楽になりますが、差し引かれる取得費が小さいために売却益が大きくなり、譲渡所得も大きくなります。
その結果、多額の所得税を納税する必要がでてくるので、取得費がわからないときは可能な限り調査して、取得費を明確にしたほうが良いといえます。
売却益を計算する
諸経費を計算し、減価償却費用を計算したうえで取得費の計算ができれば、売却価格から差し引いて売却益を算出します。
このときの計算で算出された売却益は課税譲渡所得と呼ばれ、ここに税率をかければ譲渡所得税が計算できるようになるのです。
税率は不動産の保有期間が5年以内の短期譲渡所得では39.63%、5年を超える長期譲渡所得では20.315%です。
この税金は一括して所得税として支払われるのではなく、短期譲渡所得では9%の住民税が、長期譲渡所得では5%の住民税も含まれています。
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